阿用小学校


学びを楽しむと学びたくなる?

2023-12-12 15:03:40
 先日、市の教育委員会指導主事の学校訪問がありました。1時間で6クラスを回ってもらいます。それぞれの学年の学習の様子を数分ずつ見てもらいます。1年生(1枚目)は国語の物語文の学習です。単元を通して主人公の気持ちの高まりをグラフ風に表しながら考えていて、その図を見ながら今までの学習を思い出していました。「そうそう、ここはこんな感じで(手でぐちゃぐちゃを表す)『困ったぁ』なんだよね。」などと登場人物になり切って考えた気持ちについて思い出していました。2年生(2枚目)も国語の物語文の学習です。主人公がどんな気持ちでいるのかを文章から読み取り、吹き出しに書く活動を行っていました。書いた子は、ほかの子のノートを見に行きます。書いていると「なんて書いたの?」と、書いていないと「困っているの?教科書のここのところを読んでみた?」と話します。こうして学びを子どもたちで進めていきます。3年生(3枚目)も国語の物語文の学習です。場面によって変わる主人公の気持ちを思考チャートや吹き出しなどを使って書き出して、総合して考える活動を行っていました。材料となる文章は、2年生に比べるとだんだんと増えていきます。見つけたことも時間がたつと忘れてしまいがちになるので、こうして「見える化」してあるものが手元にあると考えが広がっていきます。4年生(4枚目)は、算数で「平行な2つの線を確かめる方法を探す」活動を行っていました。平行な線を書くために三角定規を使ったという経験から、きっと定規を使うのではないかという予想を立てる子が多かったですが、そこで終える子は少なく、「もう一つ方法を考えよ。」「いいこと考えたかも!。」などという子がたくさんいました。写真がぶれていますが、これは「あっ、これはコンパスじゃなくて、ものさしを使った方がよい!。」ととっさに思い付いた瞬間です。
 5年生(5枚目)も国語の物語文の学習です。登場人物の心情を情景などから見つける活動を行っていました。見つけたことは付箋に書きます。じっと考えて吟味する子、見つかったと思った瞬間に付箋に書く子、様々です。この後グループ活動で自分の見つけたところの「量」「視点」などを友だちと比べるときに楽しさはぐっとわいてくるでしょう。6年生(6枚目)は社会科で鎖国の意味について考える活動でした。地図や写真などを見て、「なぜキリスト教を禁止したのか。」の問いに対しての応えを話していました。「教科書に書いてあります。」という発言に支配されそうなところですが、「ぼくが考えるのはね。」と自分の言葉で話し始めました。すると、友だちは「うん。なるほど。」と相槌を打ちます。
 指導主事には「いつも、授業はこんな雰囲気なんですよ。」と伝えました。一人ひとりが楽しみながら学び、また学びが楽しくなるという日常を過ごしていることが伝わったのではないかを思います。

自分事ととらえる力

2023-12-07 17:15:11
 今日の昼休みから5時間目に、人権集会を実施しました。児童会の運営委員会が中心となって会を進めました。まずは、人権擁護委員のお二方に「人権」についてお話しいただきました。
 その後、全校で「思いやり」について考える活動を行いました。まずは、「世にも奇妙な思いやりのない世界」という劇を運営委員会が披露して、思いやりの有無でどんな気持ちになるのかをイメージできやすくしていきました。その後ペアを経て、縦割り班で「思いやりのある言葉、言動とは?」ということを出し合いました。あいさつや応援、困った人への声がけなど様々な意見が出てきました。なによりも、4枚目の写真のように「頭を突き合わせて」6学年で考えること自体が「人との関わり」はいいなと思うことが重要な活動であると考えます。「(1年生の)〇〇ちゃんはどう?みえる?」「うん。大丈夫。」などという会話がごく自然に聞けるところがよいです。「よし、学校に来てよかった。」と思える瞬間です。発表する際にも、みんなにみえる、聞こえるように気を遣っている様子がうかがえました。だから、5枚目の写真のように、聞く側も、体制を変えながら聞こうとするようになっていきます。
 最後は、自分が大切にしたい「思いやり」を言いながら、じゃんけんのゲームをしました。なんと、人権擁護委員さんが勝ち続けられました。「ずっとグーを出していなのになぁ。」とおっしゃりながら、「楽しかったわ。」と言っていただきました。最後の最後には2年生の子がチャンピオンになり、全校児童が自分のことのように喜んでいました。
 本校のめざす、自分たちで創りあげる学校生活のための重要な力、自分事としてとらえる力を、全校児童が自分たちの手で獲得していく様子が伺えた大切な時間となりました。

学ぶ楽しさを「創る」

2023-12-05 16:52:25
 今日1年生教室に入ると、とても楽しそうにビッグパッドを使って説明しあっている姿が見られました。算数で図の様子を式に表す活動でした。「だってね、じっとしている鳥さんグループがね8羽いるでしょ。それから飛んでいっているグループは6羽でしょ。」と説明すると、「うん。うん。」と続けます。同じ図ですが、1枚目の写真の黒板に書いてあるように、式が3種類出たようです。「どの式が正しいのでしょうか。」という「問い」ではなく、「それぞれの式はどんなことを考えて作った式でしょうか。」という「問い」に対しての説明です。立式していない子が「きっとこの式はね。~だと思うよ。」と想像したことを説明すると、また立式していないほかの子が「違うと思うよ。これはね。」と説明を始めます。大盛り上がりです。図に表された鳥の数え方、グループの分け方、問われていることへの考え方などを、「正誤」ではなく、想像していくことに楽しさを感じたようです。
 続いて2年生教室に入ると、昨日に続いてかけ算の式(5×9)の文章問題作りをしていました。日常生活の中で、ひとつ分に5つあるものを探すのは難しいようです。「えぇっと。」と空を見上げる子、発見して喜ぶ子、様々です。普通自動車が5人乗りであることを発見した子がいました(写真3枚目)。よく見つけたなと感心しました。また、日常生活にある数を見つけたものの、問題にする方法を忘れたので、昨日のノートをじっくり見て「応用」しようとしている子がいました(写真4枚目)。
 算数は、日常生活に何気なく存在する数や量、形などを、合理的に整理したり、分類したり、法則を探したりすることが醍醐味であると思います。算数=〇、×という考えが吹っ飛ぶような「学び」を1、2年生までにどれだけするかが、その後の「算数」「数学」への「学び」が違ってくると思われます。
 そうした「算数」を楽しんでいる最中に、5、6年生は県の学力状況調査を受けていました。ある6年生は、昨年度「算数はやりたいですが、国語は絶対にやりたくありません。苦手なんです。」と言っていました。「今年はどう?」と聞くと、「(昨年度嫌い度が10とすると、今年は)5に減った。」と答えてくれました。また、ある5年生は、「難しいと思って受けたけど、難しいのは間違いないけれど、思ったよりは難しくなかった。」と言っていたようです。楽しんでテストを受けることは至難の業ですが、「テストを受ける自分」を客観的にみられるようになってきたことに、「学び」の足跡が見えます。

熟考する大切さ

2023-12-04 17:00:00
 今日5年生教室に入ると、子どもたちが明らかに心の中で「ウーッ。」とうなっているのが聞こえてくるような気配がありました。文章を表すグラフはどれなのかを考えていました。しかし、2枚目の写真のように3種類のグラフがあるのですが、何を表しているものなのかがわからないと答えることができません。縦軸が「生物の種類」で横軸が「かく乱の大きさ」を表しています。縦軸の値が大きくなれば「生物の種類は大きくなる」、横軸の値が大きくなれば「かく乱の大きさは大きくなる」ということを、関連させて読まなければいけません。例えば、「生物の種類が大きくなるほど、かく乱の大きさが大きく(小さく)なる。」などという文章になります。パッと見て、パッと答えが出るとか、マニュアル通りに進めていけば答えが出るというのではなく、「ちょっと待てよ。どういうことだろう。」「落ち着け。少しずつ当てはめて考えようか。」という「熟考」が必要です。
 3枚目の写真は、2年生が「4×8」の問題をつくっていました。恐らく、それまでに「1箱4個入りのチーズがあります。8個買うと、チーズは何個でしょう。」という問題を解いてきたのですが、逆に式から問題をつくるとなると、「ちょっと待てよ。どういうことだろう。」「落ち着け。少しずつ当てはめて考えようか。」ということになります。5枚目の写真の子のように、図に描いてみて自分の作った問題があっているかどうかを確かめていました。
 世の中が便利になり、本当に我々人間が「熟考」しなくても、なんとなく生活はしていける世の中になってきました。しかし、今まででは解決できないような前途多難なこともたくさんおこっている世の中でもあります。生成AIなどによって、何も考えなくても答えが出る半面、フェイクニュースのように嘘もたくさん拡散されていったり、AIに仕事を取られていったりすることもあります。頭と体と心をたくさん使った「熟考」を躊躇するかどうかは、今後の生活に響いてくるでしょう。
 6枚目の写真は、3年生の国語、物語文「モチモチの木」の学習の様子です。豆太の心情の変化を様々な描写から読み取る、つまり「熟考」です。なんだか楽しみにしている3年生の姿を見てほほえましく思えました。

日々の積み重ね 特別な時に特別なことでなく

2023-12-01 17:00:00
 今日は2学期としては珍しく、どの学年も校外に出たり、校外から来ていただいたり、全校児童での行事がありませんでした。「あわただしく毎日が過ぎている。」というのが2学期の状況でした。
 そんな中でどのように過ごしているのかが、実はその学校の力量を示します。1年生(1枚目)は書写の学習です。2年生(2枚目)は生活科で来週全校対象で1、2年で実施する「秋のおもちゃまつり」の準備です。3年生(3枚目)は算数で「重さを数で表す」活動です。4年生(4枚目)は算数のテストでした。いつも元気よく活発な意見を交わしている4年生が静かなので写真を撮ってみました。6年生は(5枚目)国語で説得力のある説明をするためにはどうすればよいかを考える学習をしていました。5年生は、というと6枚目の写真で紹介します。5年生は、1学期からずっと廊下にかける帽子がきれいに「白」にそろっています。私の経験上、落ち着いて生活していると帽子を裏返しにしているのか気持ち悪く感じ、表の「白」にする傾向があります。そうした意味で、余裕を持って生活していることがうかがえます。
 お気づきの通り、どの写真の子も学びに向かって真剣な「姿勢」をしていることが分かります。姿勢がピンとしているかとか、床に足がついているかとかではなく、「学ぼう」「もっと知ろう」「より多くの考えはないのか」などという「姿勢」です。
 大きな声ではきはきと発表する、自分の考えを臆せず表現できる、じっくり考え行動する、などという表面的に見て「すごい。」と思われることは、こうした日々の生活の積み重ねだとつくづく感じます。