阿用小学校


算数からみる生涯にわたるwell-being(幸福な生活)の実現

2023-09-11 14:08:07
 1枚目の写真は、5年生の算数の問題です。四角形の角度の問題ですが、1問目は3つの角は角度が示してあり、もう一つの角度は何度かという問題です。2問目は、1問目と同じように3つの角の角度が示してありますが、4つ目の角度を問うのではなく、その外角を問う問題です。子どもたちは、四角形の内角の和が360度だから、「360-(内角の和)」で答えを出していきます。1問目はすんなりいきますが、2問目はそれだけではいけません。「110度」という答えと「70度」という答えが出てきます。一方は内角の和で終わってしまっており、もう一方は外角の和を出すところまで到達しています。内角の和だけを解いた子は「簡単だ。速く解けたよ。」と言っています。じっくりと計算して外角の和を出した子は、「あれぇ、これであっているような気がするけれど。」と自信なさそうに話しています。
 3枚目の写真は、3年生の2ケタの数の10倍についての問題です。25の10倍は、20の10倍と5の10倍を合わせた数だということを学びました。その後、「15の10倍だったらねぇ。」と習ったことを応用して答えている子がいました。「1050だよ。」といいました。すると、「いや違うんじゃないかな。25の10倍が250だから、きっと150だよ。」という会話が聞こえました。「なんで違うの?」と問い返されると、「だから25のね。」と少し平行線になりました。
 先般、全国学力状況調査小学6年算数で「椅子4脚の重さは7キロ。この椅子48脚の重さは何キロですか」が解けないことを問題にされている記事がありました。こうした問題が解けない理由を「教え込みが足りない」というように短絡的に捉えられがちです。今日の2つの算数での子どもたちの会話がしっかり「話し合い」になっていく活動をしっかり行うことが必要ではないかと思いました。
 5年生の方は、聞かれていることが何かを熟考しないといけないね、という知識が得られる話し合いが必要です。また、3年生の方は、なぜ15の10倍が1050と考えたのか、そしてそれがなぜ間違った答えとなっているのかをみんなで話し合うって楽しいね、という知識が得られる話し合いが必要です。算数は、正しい答えを出す教科ではなく、数や図などを使って合理的に考えたり、一般的または具体的にしてするように考えたりする学びだと思います。
 正答率に一喜一憂するのではなく、子どもが生涯「学び続ける」ことを惜しみなくできるようにすることは、子どもたちのwell-being実現につながるのではないでしょうか。

川のお医者さん 出動

2023-09-08 17:00:00
 今日午前中、4年生は総合的な学習の時間「川の学習」で、学校前の阿用川にいき、阿用川の「健康」状態を調べに行きました。1学期に4年生は上流から下流まで探検し、昔から様々な工夫や努力を重ねて、きれいにされてきた阿用川について探っていきました。ですから、「阿用川」が大好きな12人(担任も含め)は、実際に阿用川がきれいなのかを自分たちの体を使って調べてみたいと考えました。島根県環境保健公社の方をお招きして、水質を調べていきました。写真の子どもたちは、川でとってきた生き物と、水質によって異なる生き物を分類した表とを照らし合わせているところです。まず、生き物が小さくて、素早く動くので、なかなか識別できなかったです。しかし、12人は粘り強く、環境保健公社の方のアドバイスをいただきながら、調べていました。名前がわかると、水質がきれいな場所に生息する生き物かどうかを、表と照らし合わせていました。
「あっ、これはきれいな水のところで住む生き物だって!」「ちょっときれいなところにいる生き物かぁ。」などと一喜一憂しながら判別をしていました。
 その後、少雨の中、魚なども取っていたようです。自然豊かな地域ですが、子どもたちは自由に川遊びができるわけではありません。今回も、地域の方のご厚意で、草刈りをしていただき、川まで入ることができました。図鑑で見る、動画で見るというのと違った、「自分の手で採った」という特別感のある生き物は、より一層いとおしいものだったと思います。自称「川のお医者さん」の12人。これからどのように「学び」を広げ、深めていくのか楽しみです。
 昨日紹介した、昔の阿用の学習をしていた3年生。5枚目の写真のように、自分たちが学んだこと、これから取り組むことが一目でわかる図が掲示してありました。こうしたことが、子どもの学びを充実させていきます。
 6枚目の写真は、物語文を学習する1年生の姿です。登場人物になり切って考えている様子です。あまりにも、没頭していて、かつかわいくて紹介したくなりました。やはり、4年生の川もそうですが、好きになったり、没頭したりするときの子どもの表情はとても素敵です。

社会とつながる「学び」

2023-09-07 18:17:38
 本日の朝、地域の皆様に本校の稲のはでづくりをしていただきました。昨年度に引き続き、今年度も子どもたちは「見学」をさせていただきました。子どもたちは「お手伝い」と考えて、はりきって田んぼに出かけていきました。地域の皆様のお心遣いにより、子どもたちも竹を運んだり、持ち上げたり、ひもで結わえるお手伝いをしたりしていました。近年では、天日干しをするご家庭が少なくなりましたので、貴重な「技術」となっています。子どもたちに、「家で田んぼの作業の手伝いしてる?」と聞くと、ほとんどの子が「いいえ。」と答えます。こうした機会をきっかけに、自分も少し手伝ってみようという気持ちになってくれると嬉しいです。3枚目の写真は、1、2年生が、はでづくりに向かう様子です。「自分たちの力で、はでを作っていこう。」という意欲満々の表情を見せて行進していました。社会に貢献する立派な「大人」として取り組もうとする姿勢がとても頼もしく感じました。
 4、5枚目の写真は、3年生の社会科の風景です。開校150年になる本校の歴史を中心に、地域の方をゲストティーチャーとして招いて学習しました。8~9年生きてきた子どもたちにとって、150年というのは長いようでもあり短いようでもあったようです。令和→平成→昭和→大正→明治とさかのぼっていっても、もはや「平成」が子どもたちの中では、「歴史」的な時代と感じていることを含め、ゲストティーチャーの方には大変無理なお願いをしたと思っております。しかし、着物を着て学校に行っていたことや、ゲストティーチャーの方が小学生のころに来た家電製品のことなど、眼にみえるものの変化に驚きを感じていました。私たち大人にとっては、社会の変化が著しい昨今、新しい製品や考え方がどんどん出てきて、それに追いつくのがやっとの毎日ですが、子どもたちにとってはそれが日常になっています。そうした、時代の変化の感じ方の違いも含めて、子どもたちが眼にみえない昔の人々の暮らしや、そのころの人々の願いに思いをはせていってくれることを祈っています。
 6枚目の写真は、本校の階段の踊り場の掲示板です。今月実施する遠足に関係することを調べたり、考えたりしたら、自由に掲示してよいことになっています。こうしたコーナーができて数日経過しましたが、今日待望の1号が掲示してありました。写真等を使って、行先のことを調べてまとめていました。はでづくりも昔の学習も、地域の方から教えてもらうことで、社会につながっている「学び」です。遠足に出かける前から、自分で行先について調べるのは、自分から社会に飛び込む「学び」です。こうした両輪の「学び」が、将来就職したときに必ず役立ちます。

異学年のかかわりで学ぶこと

2023-09-06 16:34:31
 8月終わりから、本校の卒業生が3週間教育実習に来ています。自分の夢をしっかりと持って、どんな教員になりたいのかというビジョンを持ってやってきました。子どもたちにとっては、「やさしいお姉さん」という立場でもありますが、3週間「先生」として子どもたちと接したり、指導したりする活動を行っています。
 昨日から、身体測定時の保健指導を行いました。子どもたちが、爪の切り方について、必要性やコツを考える活動を計画したのですが、まず子どもたちの目の前で指導することが初めてですので、心配していました。1枚目、2枚目は、「初」の指導風景です。子どもたちの表情を見ていただくとわかるように、とても落ち着いて話していることがわかります。子どもたちも自分事としてとらえて、爪を切ることの必要性を考えていました。3枚目は本日の様子です。しっかりと子どもの方に体を向けながら、黒板の資料を説明することができています。
 本校の子どもにとって、身近な「先輩」が教員になろうとしていること、しっかりと自分たちのことを考えて受け応えしてくれていることなど、憧れる要素がたくさんあると思います。こうした、キャリアモデルに出会えるチャンスはなかなかありません。我々教職員が長い時間をかけて「夢をもって目標を設定して…」と言っていることが、「百聞は一見に如かず」の如く、毎日子どもたちと接してくれていることに感謝します。
 昼休みに、「なかよし班遊び」という縦割り班活動を行いました。今回は、5年生が企画運営しました。この時期で、5年生だけで全校を動かす活動をするのは難しいです。加えて、2学期始まって間もなくのことですので、準備期間も非常に少ないです。そうした中で、各班がアイディア満載のゲームを説明して、1~6年生の友だちを楽しませることができました。この経験は、きっとこれからの陸上大会の壮行式(実は2度目。)などに生かされると思います。印象的だったのは、4、6年生の姿です。5年生の願いや苦労がわかるので、一生懸命盛り上げようとしていました。こうした姿勢を「フォロワーシップ」といいますが、こうしたことができるのは、その逆の「リーダーシップ」も身についている証拠です。こうした、4~6年生の姿勢が、よりよい学校を自分たちで創りあげようという雰囲気になっていると感じました。

学び方を学ぶ(獲得する)こと

2023-09-04 17:20:39
 今日3年生の教室をのぞいてみると、漢字の学習をしていました。漢字ドリルにある字をなぞりながら「感じた」「分析した」のちに、ホワイトボードに大きく書きます。そのあと、学習用タブレットで撮影します。撮影することもあって、緊張感があります。学習用タブレットに保存されたホワイトボードに書いた漢字の「作品」は、家庭に帰ってからも、自分のお手本となりますし、恐らく保護者のみなさんも見られます。しかし、自分で正誤を確かめることは難しいですので、友だちと見合います。「〇〇ちゃん、そこは出ちゃだめだよ。」「ていねいに書いてるね。」などという会話が聞こえます。「同じ漢字を10回書きましょう。」という漢字練習と違い、楽しみながら自分だけの「漢字作品展」ができあがりそうです。
 3枚目の写真は、2年生教室での国語の授業風景です。2年生は1学期から「発表→質問」という形でグループでの話し合い活動を行っています。今日は、自分たちの話し合い活動での様子を録画した動画を見て「分析」することにしたようです。発表の後に、「(次はだれが質問する?と心の中で自問自答している)・・・」という隙間の時間があることに関して、どう思うのかを考えていました。スムーズな話し合いをするためには、発表した人のことを考えて、質問する内容や、「間」を大切にする必要があることを実感したようです。4枚目は、その後の修正をしているところです。また、担任が録画していますので、「成果」が自分たちで評価できます。
 5枚目、6枚目の写真は、6年生の国語の授業風景です。教科書に載っている「話し合い風景」を参考にして、よりよい話し合いの仕方について考える活動でした。「話し合い風景」は2つありました。一つは個々に考えを言い放っている話し合いです。もう一つは、ある子の意見に同調するする話し合いです。6年生の子たちは、「こんな話し合いしていてはだめだよね。ぼくたちのほうが…。」と自分たちと比べて「よりよい話し合いをするコツ」を見つけ出していました。
 今日紹介した、3つの子どもの「学び」の姿は、すべて「学び方」を自分たちで考えるという「学び」です。教師が「〇〇しなさい。」と言ったとおりにするのではなく、自分たちで「方法」を見出すことに、この「学び」の価値があります。