阿用小学校


社会とつながる「学び」

2023-09-07 18:17:38
 本日の朝、地域の皆様に本校の稲のはでづくりをしていただきました。昨年度に引き続き、今年度も子どもたちは「見学」をさせていただきました。子どもたちは「お手伝い」と考えて、はりきって田んぼに出かけていきました。地域の皆様のお心遣いにより、子どもたちも竹を運んだり、持ち上げたり、ひもで結わえるお手伝いをしたりしていました。近年では、天日干しをするご家庭が少なくなりましたので、貴重な「技術」となっています。子どもたちに、「家で田んぼの作業の手伝いしてる?」と聞くと、ほとんどの子が「いいえ。」と答えます。こうした機会をきっかけに、自分も少し手伝ってみようという気持ちになってくれると嬉しいです。3枚目の写真は、1、2年生が、はでづくりに向かう様子です。「自分たちの力で、はでを作っていこう。」という意欲満々の表情を見せて行進していました。社会に貢献する立派な「大人」として取り組もうとする姿勢がとても頼もしく感じました。
 4、5枚目の写真は、3年生の社会科の風景です。開校150年になる本校の歴史を中心に、地域の方をゲストティーチャーとして招いて学習しました。8~9年生きてきた子どもたちにとって、150年というのは長いようでもあり短いようでもあったようです。令和→平成→昭和→大正→明治とさかのぼっていっても、もはや「平成」が子どもたちの中では、「歴史」的な時代と感じていることを含め、ゲストティーチャーの方には大変無理なお願いをしたと思っております。しかし、着物を着て学校に行っていたことや、ゲストティーチャーの方が小学生のころに来た家電製品のことなど、眼にみえるものの変化に驚きを感じていました。私たち大人にとっては、社会の変化が著しい昨今、新しい製品や考え方がどんどん出てきて、それに追いつくのがやっとの毎日ですが、子どもたちにとってはそれが日常になっています。そうした、時代の変化の感じ方の違いも含めて、子どもたちが眼にみえない昔の人々の暮らしや、そのころの人々の願いに思いをはせていってくれることを祈っています。
 6枚目の写真は、本校の階段の踊り場の掲示板です。今月実施する遠足に関係することを調べたり、考えたりしたら、自由に掲示してよいことになっています。こうしたコーナーができて数日経過しましたが、今日待望の1号が掲示してありました。写真等を使って、行先のことを調べてまとめていました。はでづくりも昔の学習も、地域の方から教えてもらうことで、社会につながっている「学び」です。遠足に出かける前から、自分で行先について調べるのは、自分から社会に飛び込む「学び」です。こうした両輪の「学び」が、将来就職したときに必ず役立ちます。

異学年のかかわりで学ぶこと

2023-09-06 16:34:31
 8月終わりから、本校の卒業生が3週間教育実習に来ています。自分の夢をしっかりと持って、どんな教員になりたいのかというビジョンを持ってやってきました。子どもたちにとっては、「やさしいお姉さん」という立場でもありますが、3週間「先生」として子どもたちと接したり、指導したりする活動を行っています。
 昨日から、身体測定時の保健指導を行いました。子どもたちが、爪の切り方について、必要性やコツを考える活動を計画したのですが、まず子どもたちの目の前で指導することが初めてですので、心配していました。1枚目、2枚目は、「初」の指導風景です。子どもたちの表情を見ていただくとわかるように、とても落ち着いて話していることがわかります。子どもたちも自分事としてとらえて、爪を切ることの必要性を考えていました。3枚目は本日の様子です。しっかりと子どもの方に体を向けながら、黒板の資料を説明することができています。
 本校の子どもにとって、身近な「先輩」が教員になろうとしていること、しっかりと自分たちのことを考えて受け応えしてくれていることなど、憧れる要素がたくさんあると思います。こうした、キャリアモデルに出会えるチャンスはなかなかありません。我々教職員が長い時間をかけて「夢をもって目標を設定して…」と言っていることが、「百聞は一見に如かず」の如く、毎日子どもたちと接してくれていることに感謝します。
 昼休みに、「なかよし班遊び」という縦割り班活動を行いました。今回は、5年生が企画運営しました。この時期で、5年生だけで全校を動かす活動をするのは難しいです。加えて、2学期始まって間もなくのことですので、準備期間も非常に少ないです。そうした中で、各班がアイディア満載のゲームを説明して、1~6年生の友だちを楽しませることができました。この経験は、きっとこれからの陸上大会の壮行式(実は2度目。)などに生かされると思います。印象的だったのは、4、6年生の姿です。5年生の願いや苦労がわかるので、一生懸命盛り上げようとしていました。こうした姿勢を「フォロワーシップ」といいますが、こうしたことができるのは、その逆の「リーダーシップ」も身についている証拠です。こうした、4~6年生の姿勢が、よりよい学校を自分たちで創りあげようという雰囲気になっていると感じました。

学び方を学ぶ(獲得する)こと

2023-09-04 17:20:39
 今日3年生の教室をのぞいてみると、漢字の学習をしていました。漢字ドリルにある字をなぞりながら「感じた」「分析した」のちに、ホワイトボードに大きく書きます。そのあと、学習用タブレットで撮影します。撮影することもあって、緊張感があります。学習用タブレットに保存されたホワイトボードに書いた漢字の「作品」は、家庭に帰ってからも、自分のお手本となりますし、恐らく保護者のみなさんも見られます。しかし、自分で正誤を確かめることは難しいですので、友だちと見合います。「〇〇ちゃん、そこは出ちゃだめだよ。」「ていねいに書いてるね。」などという会話が聞こえます。「同じ漢字を10回書きましょう。」という漢字練習と違い、楽しみながら自分だけの「漢字作品展」ができあがりそうです。
 3枚目の写真は、2年生教室での国語の授業風景です。2年生は1学期から「発表→質問」という形でグループでの話し合い活動を行っています。今日は、自分たちの話し合い活動での様子を録画した動画を見て「分析」することにしたようです。発表の後に、「(次はだれが質問する?と心の中で自問自答している)・・・」という隙間の時間があることに関して、どう思うのかを考えていました。スムーズな話し合いをするためには、発表した人のことを考えて、質問する内容や、「間」を大切にする必要があることを実感したようです。4枚目は、その後の修正をしているところです。また、担任が録画していますので、「成果」が自分たちで評価できます。
 5枚目、6枚目の写真は、6年生の国語の授業風景です。教科書に載っている「話し合い風景」を参考にして、よりよい話し合いの仕方について考える活動でした。「話し合い風景」は2つありました。一つは個々に考えを言い放っている話し合いです。もう一つは、ある子の意見に同調するする話し合いです。6年生の子たちは、「こんな話し合いしていてはだめだよね。ぼくたちのほうが…。」と自分たちと比べて「よりよい話し合いをするコツ」を見つけ出していました。
 今日紹介した、3つの子どもの「学び」の姿は、すべて「学び方」を自分たちで考えるという「学び」です。教師が「〇〇しなさい。」と言ったとおりにするのではなく、自分たちで「方法」を見出すことに、この「学び」の価値があります。

やらされる「勉強」 願いを持って取り組む「学び」

2023-09-01 17:00:00
 今日6年生の教室をのぞくとピンと張りつめた雰囲気になっていました。1枚目の写真がその様子ですが、プリントを取り組んでいました。いつもなら、「あぁ、そうか。」「わからないなぁ。」などと、楽しみながら課題に向かっている6名が、息を止めているかのような静けさのもと、プリントに書いてる問題に向かっていました。プリントには「ハイレベルな問題」と書いてあり、納得しました。自分の力を最大限に発揮し(てもできないかもしれない)なければならないくらいの難問に出会い、ふざけるなどの逃げることをしないで、正対している姿がとても印象的でした。
 2枚目の写真は、1年生の音楽の風景です。鍵盤ハーモニカでの「初音出し」の瞬間です。恐る恐る鍵盤を押す様子です。低い音を選んだ子、高い音を選んだ子、音を伸ばしている子、弾むように音を出している子と様々です。自分が「音」を操作することの楽しさを味わい始める瞬間でした。
 3枚目の写真は、3年生の算数の様子です。10倍していくと数がどのように変化していくのかを考えていました。「大きくなる」「左に動く」などという、「見た・感じた自分の言葉」で変化について説明していました。「位」という言葉を習い、10倍していくと数がどのように変化するのかを説明できるには、やはりこうした「見た・感じた自分の言葉」が大切です。それを算数用語に翻訳していくことができるようになる瞬間でした。
 4枚目の写真は、3・4年生の体育の風景です。グループで円になり、メンバーにボールをパスする活動です。できるだけ長く、落とさないようにパスを続けるにはどうすればよいかを考えながら、活動をしていました。「いい。こうやって、ボールをしっかりつかむんだよ。」「ゆっくり投げれば取りやすくないかな。」「そんな足の方に投げたら、誰だって取りにくいよ。」などとアドバイスをしながら、どのグループも1回目より長くパスをつなげることができました。相手のことを思って、相手に応じて「パス」をするという、中学年にとって一番大切な「思いやり」を体感する瞬間でした。
 5枚目の写真は、5年生の作文作成の風景です。「社会を明るくするにはどうすればよいか」について、「社会が暗くなることは何か」「どんなことをするよ暗くならないのか」「自分にできることはないのか」など項目を立てた「思考ツール」を使って自分の考えを広げたり、整理したりしていました。「社会を明るくする」という、自分には見えにくい事柄について、自分の周りの生活や報道などで流れる事件等のニュースなどを思い起こしながら考えていました。まだ見えてこない、「社会に役立つ自分」について真剣に取り組もうとする瞬間でした。
 こうした、様々な「瞬間」の積み重ねが、生涯にわたって役に立つ力になっていくのだと思います。1番初めは、教師の「~をやってごらん。」と言って「やらされる勉強」ことかも知れません。しかし、その中で「自分事」として、自分なりに取り込もうとしたり、アレンジしたり、逆に自分流を修正したりしていきたいという「願い」が生まれてきます。そこがチャンスです。それが、生涯にわたって役に立つ「学び」になると思います。6枚目の写真は、本校の「作品展」の一部です。「理科の学習で興味を持ったから」「去年取り組んだことで疑問を持ったから」「1学期の活動で〇〇作りが楽しくなったから」などきっかけは様々ですが、ほかの人にはできない、唯一無二の「作品」ができあがっています。夏休み期間中の(「やらされる勉強」が始まりかも知れませんが)、願いを持って取り組んだ「学び」の成果を見ていただきたいです。9月5日まで展示しています。

つなげる学び

2023-08-31 17:00:00
 今日2年生の教室をのぞくと、図に書いている子どもの人数の計算の仕方を考えていました。「7+12+8」をどう計算するとよいのかを考えていました。1枚目の写真は「12+8」を先にして、「20」という答えを出す方法でした。2枚目の写真は「7」から順にたしていく方法でした。クラスで意見は分かれたようです。担任は、発表した子の考えと自分の考えのどこが同じで、どこが違うのかを明確にする発問を丁寧にしていました。そうすることで、「自分と同じ」というのが、「答え」ではなく「考え方」であることに気づいていきます。ですから、「簡単にできるのは」という最終的な発問には、「12+8」を先にする、つまり10のまとまりをつくる方がよいという結論に至ったと思います。
 3時間目が終わってから3階にいると、「先生、今から夏休みに練習した50問漢字テストをするから、見に来てください。」というリクエストを4年生の子からもらいました。3枚目の写真のように、真剣な表情で挑んでいる姿を見ると、それだけで「苦手かもしれないけれど、漢字を覚えようとする姿勢が身についてきた。」と感慨深くなります。担任は、そのテスト前に4枚目の写真のような、「ペアでもう一度チェックタイム」を設けました。すると「〇〇ちゃん、そこは横線が一本多いよ。」「惜しい、少しはみ出ているよ。」などと、子どもたち一人ひとりが「教師」となって教え合っていました。夏休み期間中に、ほぼ一人で取り組んでいたので間違った思い込みも多々あったようです。「ありがとう、これで2点(50問テストですので、1問が2点となります。)得したわ。」といった声が聞こえました。結果はすぐわかるようですが、苦手でも逃げないで40日近く取り組んだことが「大きな学び」だと思います。
 先日6年生のある子が、「先生、ぼく全然だめだ。」と言って落胆していました。聞いてみると、漢字練習を1回しかしていなかったようです。すると、友だちが、「〇〇ちゃんは、漢字ができないんじゃなくて、長く練習していなかったことがいけないんじゃない?」と言っていました。漢字がなかなか覚えられない、漢字を覚える気持ちになれないということで困っている子はたくさんいます。5枚目の写真は、3年生の漢字の取組の様子です。ホワイトボードに大きな字で書き写していました。ノートに書くより、正誤がわかりやすくて覚えやすいという子、なんだかしっくりこないからノートがいいという子と様々です。学習用タブレットのおかげで、ホワイトボードのほか、漢字のアプリや漢字ドリルなど様々な方法で漢字を覚えることができます。「ぼくだめだ。」というのではなく、漢字を覚える方法が自分に合わないことに気づくことが大切です。
 そうした、子ども一人ひとりの、強みを生かして、願いを実現させて、自分なりに学んできた「成果」を、「夏休み作品展」で公開しています。どうぞ、お越しください。