阿用小学校


没頭することができる「スポンジ」の心

2022-11-10 17:00:00
 先週の11月1日に、低学年、中学年、高学年の3つに分かれて、ストーリーテリングを実施しました。「おはなしの森」の方にお越しいただき、それぞれの発達に応じたお話をしていただきました。写真を見ていただいておわかりのように、子どもたちはしっかりと話の中に入っています。驚く、怖がる、真剣に考えるなど話の中に入っていないと感じられない感情にどっぷりつかっていました。本校の素敵なところは高学年までがそういった姿が見られるということです。その後には、紹介していただいた本を積極的に見入っている姿も見られました。残念ながら、本校の子どもの家庭での読書の時間は少ない現状が続いておりますが、本の内容にしっかり入り込める、没頭する力や姿勢が養われていることがよく分かる一コマでした。
 没頭する力や姿勢は、社会的な課題に対しても「自分事」として捉える力似もつながります。4、5枚目の写真は、先日の11月7日に行った「放射線に関する出前授業」でも発揮されました。エネルギーリテラシー代表の秋津先生をお招きして、放射線について考えました。実際に放射線を測定し、放射線は適切に扱えば人にとって危険なものではないということを学びました。それを踏まえて、東日本大震災での福島第一原発事故後の、風評被害について説明を受けました。放射線について正しい理解がないことで、生んでしまう「いじめ」や「不買運動」などについて子どもたちは考えました。
 秋津先生がおっしゃるには、10年の月日は恐ろしく、福島第一原発事故が、遠くのところで起きた昔のことのようになってきているようです。SNSやインターネットが発展し、より詳しく広い情報が集まるようになってきたにもかかわらず、「自分事」として捉えられないことが残念だとおっしゃっていました。本校の子どもたちの「スポンジ」のような心は、こうした出前授業を経て、「自分事」として捉えていってくれると思います。
 6枚目の写真は、先週の11月4日に健康委員会が企画したフレンド集会での一コマです。縦割り班のメンバーで、「歯と口の健康づくり」について今まで学んできたことも生かしながら活動していました。歯と口の健康づくりについても、「スポンジ」の心をもった本校の子どもたちは、しっかりと「自分事」として学びを広げたり深めたりしています。

没頭すること  深い学びへ

2022-11-09 17:00:00
 今日から本校は個人懇談が始まります。その関係で朝掃除を行っています。全校が縦割り班で行いますが、非常に静かに掃除をしています。校舎内で聞こえる「音」は教職員がたまに行う指示のみです。教職員があれもこれもと指示を出せば出すほど、子どもたちは集中して掃除ができなくなる傾向があります。つまり、子どもたち自身が考えながら、集中して担当の場所をきれいにしている証拠だといえます。登校時の大きな声でのあいさつと一転した静けさは、非常に感慨深い光景です。
 さて、4年生は国語において、自分で物語文を作っている子とは以前紹介しました。とても明るく、いつも笑い声が絶えない学級ですが、国語のこの時間だけは誰一人声を出していません。一人ひとりが考えた「作品」を担任は「根気強く」アドバイスや修正すべき点を原稿用紙に書いていきます。すると、子どもたちも「根気強く」担任のアドバイス等の意図を理解して、よりよいものを創ろうとがんばります。その繰り返しを経て、とうとう清書に入ろうとしています。担任は最後の「レベルアップのコツ」として、とうとうきれいな字の書き方の紹介をしていました。子どもたちは「なるほど。そうすればよりよいものになるんだな」と言いつつ、緊張した面持ちで一字ずつ力を入れながら清書を始めました。いつもは話しかけると、すぐ反応してくれる4年生の子どもたちですが、全く相手にしてくれませんでした。
 5、6年生は、図工において自分のお気に入りの学校の風景を水彩画で描いていました。担任から、遠くにあるものがきちんと「遠くに見える」ようになるコツを教えてもらい、一言も話をしないで真剣にいろ塗りをしていました。3枚目の写真ですが、自分が集中できやすい場所を選んで取り組んでいました。床に画板を置く子、のばした足に置く子、壁に向かって描く子、それぞれ集中できる場所は違うようです。たまに「先生、こういうときはどうすれば、遠くに見えるようになりますか。水の量ですが。」などと質問をしていました。
 4枚目の写真は、1年生の算数の風景です。ある子が、「間違ってもいいからやってみよう」といって「13-7=」の考え方の説明に挑戦しました。すると、友だちが「大丈夫。みんなでみているから。・・・うん、そう。いい感じ」と言いながら、手をぎゅっと握って応援していました。説明する方も、聞いている方も力が入りました。5枚目の写真は3年生の道徳の風景です。ここでも同じように、「どうしよう。間違えたら。」とモニターの前で緊張している友だちに対して、「大丈夫。見ているよ」といって、手を双眼鏡にしてじっと見つめて応援していました。両方とも、課題に対して全員で解決していこうとしていますし、その際に間違っても、何も恥ずかしいことはない、むしろみんなが応援するといった雰囲気が見られました。
 課題が少し難しく、自分たちで失敗してもあきらめないで解決していこうという気持ちで取り組む、つまり没頭することは、案外難しいことです。保育所や幼稚園などでは遊びの中で「いいこと考えた」「やっぱりそうか」などという独り言が自然と出てくるときに没頭しているというようですが、まさにそういった光景が小学校で見られることは、幼児期での遊びの中で培った「没頭する」ことのよさ、面白さを再現していることだといえます。「教科書の〇〇ページを開いて。今日は問題の〇番をします。できましたか。」という受け身の授業では見られないことでしょう。そういったときには、必ず友だちへの応援や励まし、協力が見られるようになります。6枚目の写真がそれを物語っています。右側の女の子は、テープを使いたくてきたのですが、左側の男の子が困っていたので、そっとテープを差し出しながら、「こうしたらいいんじゃない。」とアドバイスしていました。左側の男の子はごく自然に「ありがとう。」といっていました。2年生の生活科での光景です。全員がおもちゃづくりに没頭して、静かになっていた教室の中で優しく聞こえてきた「ありがとう」の声でした。

楽しそうな子どもたちですね

2022-11-08 16:05:40
 今日の5時間目に、雲南市教育委員のお二方の学校訪問がありました。1年生から6年生までの授業や、学校内にある掲示物等を見ていただきました。その後、お二方とも「子どもたちが楽しそうですね」「声がしっかり出ていますね」「黒板に書いてあることをしっかりとノートに書こうとしていますね」などという感想をおっしゃいました。
 さらに、こんなこともおっしゃいました。「玄関に入ってすぐに、1、2年生の子どもたちから「こんにちは」とあいさつをしてもらいました。その声がとてもよかったんですよ。この学校の子どもたちは学校生活を楽しんでいるなと直感的に思いました。授業を見て『やっぱり』と思いました。」この言葉は本校にとってとてもうれしいものでした。1つは、担任と共に授業の中で「学び」を楽しんで行っていることを分かっていただいたこと、もう1つは朝のあいさつはよいけれど・・・という本校の課題を克服してきているなということのあらわれということです。
 その他、どの学年も「めあて」をしっかりもって授業を行っていることが分かることや、学習用タブレットを有効に活用していることを感想として言ってくださいました。
 6枚目の写真のように、5、6年生は算数で「わたり」の学習をしていました。教育委員さんは、「先生が2学年を教えておられるんですね。1つの学年を見ておられるときに、子どもたちは自分たちで学んでいるんですね。」とおっしゃいました。私はすかさず、「担任はできるだけ指示を少なくして、子どもたちだけで学びを創ることができるようにしているんです。」と応えました。するともうひとかたの教育委員さんが、「これが複式教育のよいところなんですよね。子ども自身が学ぶ、大事ですよね。」と加えてくださいました。本校の大切にする「学び」の醍醐味に触れていただけたと思い、うれしくなりました。

授業中の声の大きさ 潤いのある雰囲気

2022-10-31 17:00:00
 今日5時間目に3年生の教室をのぞくと、道徳で「友だちを大切にするってどういうこと」について考えていました。困っている子とそれに声がけをする子の役に分かれて、指名された子が発表していました。この写真の時はちょうど担任が困っている子の役でした。声がけをする役の子は、「どうしたの?」と言い始め、すらすらとセリフが決まっているかのように続けていきました。2枚目の写真のように困っている子の役をしている担任は、聞かれれば聞かれるほどうなだれていきます。それをみている他の友だちは、「いいよ。その調子」「先生が何に困っているのか教えてもらったら」などと、励ましやアドバイスをしていました。励ましやアドバイスをする子は、発表している友だちの声を気にしながら、ちょうどよい大きさで話していました。
 こうした授業中の子どもたちの声の大きさや潤いのある雰囲気が様々な場面で見られます。3枚目の写真は、1年生の音楽の時の様子です。「やまびこごっこ」でのまねっこあそびでした。真似をする方とされる方の2人ペアで分かれて歌います。リズムにのって体をゆらしたり、この写真のように実際に山に向かって「ヤッホー」と言っているかのようなふりをしたりしています。そうしたリズムや曲調、歌詞に合わせた動きをしている姿は、1年生はもちろん、2年生も大変上手ですし、3、4年生も楽しんでやっています。そうした経験を重ねていくと、4枚目の写真のように、パートに分かれた合唱に取り組むことができます。なかなか音程をとることができませんが、根気強くがんばって「ハモル」ことを夢見ています。この写真は5、6年生ですが、4年生もがんばっています。パートに分かれると、自分の声がはっきりとわかるようになります。音程が合っているのかどうか、非常に難しいところですが、恥ずかしがらないで挑戦しています。
 こうした授業中の声の大きさや雰囲気の潤いを支える要素はいくつか考えられますが、1つは授業がおもしろいことです。担任との丁々発止を含め、授業に参加して楽しめることは非常に重要です。さらに、学級を自分たちの力でよりよくしようとすることです。これも大切です。こうしたことの積み重ねで、「学校って楽しい」と感じられると思います。
 

蓮花寺登山レース やり切ることの大切さ

2022-10-28 16:50:19
 今日は、蓮花寺登山レースを実施しました。延期した「おかげで」、快晴の中で迎えることができました。6年生代表のあいさつの「今日のマラソンで敵がいるとすれば、自分です。」という名言のあと、準備運動やジョギングをしました。その後、プール横に移動してスタートを待ちました。とてもうれしいことに、保育園児が応援にきてくれました。1~3年生がまずスタートした姿を、4年生以上はしっかり応援をしていました。そして、4~6年生がスタートします。6年生は「これで最後だな」というつぶやきも聞こえ、より一層緊張が高まりました。
 レース中は、保護者の方、地域の方が応援してくださいました。こうして、自分たちのがんばっていることを、教職員ばかりでなく、様々な大人から声や心をかけてもらうことはあまりありませんので、よけいにパワーが出たと思います。今日が待ち遠しかった子、〇〇ちゃんに負けるのではないかと心配だった子、作戦を練りに練っている子など様々ですが、スタートすれば、一人ひとりが「孤独」の中でがんばり続けなければなりません。そうしたときの応援は非常にうれしいと思います。少し体調が悪いのですが、絶対にゴールまで歩くという決意をもって取り組もうとする子もいました。
 ゴールした蓮花寺の場で、ふり返りを行いました。全員が目標をもって取り組んだといいましたが、その目標が実現しなかった子、更に新しい目標を設定した子、次は〇〇ちゃんに勝つぞという願いをもった子、様々なかたちで「未来」の自分を考えようとしていました。
 体育主任が、「蓮花寺登山レース」で、目標を設定し、それに向かって努力することは、他のことでも活かせるということを話しました。今日までのところで、お休みの日に蓮花寺まで何度も走ったり、家に帰って練習したりする、地道な努力をした子たちがいました。我々は、そうした派手さはないけれど、目標に向かってこつこつと取り組んでいく姿を今後とも大切にしたいと思います。