阿用小学校


自分で ということの「学び」

2022-12-12 14:26:15
 12月3日の土曜日は、授業公開等のため出校としました。給食がないこともあり、本校は「弁当の日」としました。弁当に必要な食物の買い物、米研ぎ、当日の炊飯、おかず作り、などの選択肢とともに、お弁当箱を洗うことまでを目標として取り組みました。本校は、稲刈りの時もそうでしたが、1年生だから~はできないということを決めつけることはせず、自分で願いを持ったことに対して目標を設定して取り組むことを大切にしていますので、1年生でもお米を研いでおにぎりを作ろうと考えている子もいました。
 当日の登校時には、様々な子どもの姿が見られました。「もう4時から起きてお弁当を作ったから…」と登校早々に眠そうな子、「先生、見てもらいたいです。自分で〇〇を作りました。」と今にもお弁当箱を取り出して見せようとしている子、「朝起きれるか心配で、昨日の夜眠れませんでした。」と先を見通して取り組もうとしている子、一人一人がそれぞれのストーリーを持ちながら登校してきました。
 あるクラスでの会話です。「先生、僕がお弁当を作ろうと早起きしたら、「〇〇ちゃん、お弁当」って僕より先に起きて作ってくれていたんです。うれしいけれど、残念です。」と報告してくれていると、「それはね、〇〇ちゃんが昨日のうちに「僕が作るよ」と言わなかったからだめだよ。うちはね、昨日のうちに宣言したから、お母さんは「ありがとう。それはお母さん、楽ができるわ」といって今朝起きなかったよ。本当に自分一人で作ったんだ。」「なるほど、宣言かぁ」というものでした。何か、「ちょっと大人になることよ」と宣言しているみたいでほほえましかったです。おにぎりを作った子どもの中には、精魂込めて力を注入しながらおにぎりを作ったようで、「おもち」のように弾力のあるおにぎりになったという子もいました。
 土曜日に子どもがお弁当作りに携わることができるのは、保護者の皆さんが、平日の仕事がお忙しい中で、買い物に付き合ってくださったり、レシピや料理の段取りを教えてくださったからできることだと感謝しながら、子どもたちの「ちょっと大人になる」喜びのコメントを聞かせてもらいました。おそらく、当日の朝「あぁ、こんなことしていたら間に合わないな。私が作ったほうが早いわ。」とか、「もう見てられないわ。けがしそう。」という思いをされた保護者の方もおいでだと思います。ぐっとこらえて、子どものトライアンドエラーを大切にしていただきましたことも、併せて感謝します。

人と「うまく」かかわるためには 国語 全校遊び

2022-12-11 13:09:33
 12月9日の昼休みに健康委員会が「全校ドッジボール大会」を開きました。1年生は、保育園で取り組んだところもあるかと思いますが、こんなに多くの人数で行うのは初めてかもしれません。給食を終えると、とてもはしゃいで体育館に集合しました。健康委員会は、前回の校庭での全校鬼ごっこ大会がありますので、「ルールを守ってください」「みんなが楽しめるように、勝ち負けにこだわらないでください」などという注意事項を参加者に伝えて始めました。みんなは、非常に大きな声で「はい」と返事をしていました。始まると、高学年のスピードの速いボールに圧倒される子、「これはずっと逃げ続けよう」と固く決心をする子、ボールを投げることやとることにチャレンジする子、低学年の持っているボールを奪う子と譲る子、何でもかんでも高学年にゆだねる子、様々な「人間模様」が見られました。実は、はじめから人数の偏りがあったように思いますが、非常に和気あいあいとできました。今回は勝ち負けにこだわりすぎて、相手チームを挑発したり味方に注意したり、あてられて悔しく泣き叫んだりする子はいませんでした。
 2週間に1回実施するようですが、前回のように勝敗にこだわる姿はとても大切にしたいですし、今回のような和気あいあいも大切にしたいです。しかし、「遊び」ですから、勝ち負けが伴うゲームをするにはある程度「勝ち負け」にこだわって、より強くなるためにはどうすればよいのかを追究してほしいと思います。少しやる気のない友達には叱咤激励をしたり、苦手だと思っている子にアドバイスをしたりする光景も見たいものです。こうした、いいバランス感覚を持って集団で遊ぶことは非常に大切だと思います。「みんなちがってみんないい」というのは、一人一人が幸せを追究し、時には叱咤激励を繰り返した末に感じることだと思います。そうでなければ、一人一人がゲーム機で遊ぶほうが楽しいことになってしまいます。
 そうした意味でも国語を中心とした、言葉を使って適切に伝えたり理解したりする学びは重要だと考えます。4枚目の写真は、2年生の国語で、教室内で動物が書いてある文字などを集めようとする活動がありました。語彙は多ければ多いほど良いですが、耳や目ばかりではなく、手や足、そして友達をうまく使って語彙を増やすことは、その後の生活での活用できる確率を大いに高めることになるようです。5枚目の写真は、3年生の国語で「学校での昼ご飯は給食がよいか、弁当がよいか」を説明しあう活動でした。ある子が、自分をよく知っているお母さんだからこそ、自分に合った弁当を作ってくれるからということを、例を用いながら説明していました。担任は、「非常によくわかるし、お母さんに伝えたいくらい心のこもった主張だけど、もし反論があるとすれば」と言いかけると、「〇〇ちゃんの文はとても素敵だけど、反対が」と言って何人かの子どもが、挙手していました。自分の主張と違う考えを持つことがよいことで、それをうまく伝えることをしっかり考えればよいということを学んでいると思います。
 6枚目の写真は、3、4年生の体育での「器械運動発表会」の様子です。できずに泣きながら挑戦している子に対して、「大丈夫だよ。みんながついているよ。」「挑戦することが素敵だよ。」などという声援を全員が、のどがかれるくらいの大きい子でかけていました。すこし「こわさ」もあり、なかなかできづらいのに、何度も挑戦していましたので、それに応えようとしていたのだと思います。
 やはり、何かに真剣に取り組んでいけば、できることやできないこともあり、うれしいこともつらいこともあります。そうしたときに、やりたくすることもやめたくするのも、子ども同士の言葉だと思います。勝ち負けにこだわらず、ただ時間が過ぎるまで何かをするという遊びではなく、今までの「学び」を駆使した一つ上の「遊び」が見られることを期待します。

あたりまえだと思うことのこわさ  睡眠・メディアと生活習慣病

2022-12-08 16:20:06
 今日の5時間目に、5、6年生は「眠り・メディアと生活習慣病」という題名で、「専門家・専門医による指導事業(県教育委員会保健体育課)」として、出雲市の嘉村医院の嘉村正徳先生にお越しいただきました。今回で3回目の来校ですが、毎回、本校の子どもの実態を事前にアンケートで把握してくださり、それに応じたお話をしていただきます。まず、生活習慣病の糖尿病などの症状やその原因を説明されました。「糖尿病になった40歳代の方が、夕飯の後にアイスクリームとジュースを飲むのは、あたりまえですか?」と問われます。子どもたちは、失笑気味に「それはあたりまえではないですよ。」と答えます。先生は畳みかけるように、「そうだよね。でもこの方、ダメだってわかってもやめられなくて、より一層アイスを食べるようになってしまうんだよね。」と説明されます。すると、子どもたちは「それはだめ、ダメに決まってるよ。」と40歳代の方に対して諭すように反応します。
 そうした生活習慣病についてお話をされた後、「テレビやスマホを3時間利用するのは、あたりまえ?」と聞かれます。それまで、「だめだよ。」とたしなめるように答えていた子どもたちの様子が変わっていきました。加えて、本校の利用についてのデータを示されますし、その上、2年前の本校の子どもたちの利用状況に比べて悪くなっている事実を示されます。子どもたちは、それまでの「ひとごと」から一転し、自分の生活を見直し始めます。その後、テレビ、ゲーム、スマホなどのメディアに長い時間接することによって、特に睡眠と朝食の時間が少なくなり、脳への悪い影響が出ることを説明されました。学んだことを覚えられなくなる、感情をコントロールできづらくなる、イライラしてしまうなどの脳と心が正常に起動しないことが分かってきたので、ますます子どもたちの表情は険しくなっていきました。
 最後は、24時間をうまく利活用するには、何を大切にしていくのかを決めて実行する必要があるという話をされました。子どもたちは「寝ることだな」と言いながら、睡眠を確保するためには何を削るのかを考えていきました。歯と口の健康づくりで経験した「学び」を生かしていけそうですが、我々大人にとってもなかなか難しい課題でした。
 ある調査によると、ここ2、3年間で、0~2歳のスマホでの動画等の視聴時間が急激に増加していると聞きます。子どもの機嫌を損ねないためにスマホ、子どもの遊び相手のためにスマホと、スマートフォンなどが子どもにとって身近になる一方、メディア依存による睡眠障害などの生活習慣病、キレる子ども、熟慮しない子どもにしてしまっていることが問題とされています。本日の子どもたちの「これは大変だ。どうにかしないと」という深刻な課題意識。依存傾向になる前に保護者を含めた我々、子どもを取り巻く大人がもつ必要性を強く感じました。

人権集会を開催しました

2022-12-07 20:12:41
今日の5時間目に、人権集会を開催しました。集会には、人権擁護委員の高木さんと蓮岡さん、ろうあ者の竹下さんと手話通訳の三澤さんに来ていただき、それぞれの立場から子どもたちにお話をしていただきました。まず、人権擁護委員のお2人から、「なかよし」をキーワードにしたお話と手品をしていただきました。手品を交えながら、自分のことだけ考えず、相手の気持ちを考えて生活すると「なかよし」になれることや、お互いのことを考えて勉強したり遊んだりするとたくさんの人と「なかよし」になれることを話されました。
次に、ろうあ者の竹下さんと子どもたちとの交流タイムを行いました。はじめに、竹下さんから、事前にお伝えした子どもたちの質問をもとにしたお話を聞きました。聞こえる人との会話の方法や、テレビや電話など生活の様々な方法、ご自身の趣味などを丁寧に教えてくださいました。困ることがあってもそれを克服したり工夫したりしながら、いきいきと生活しておられる竹下さんのことがとてもよく伝わってきました。そして、出会ったときに使える手話を竹下さんからも教わりました。子どもたちは朝昼晩のあいさつを教わりとても嬉しそうに竹下さんに見せていました。お話の最後に、竹下さんから子どもたちに「耳が聞こえない人がいる時には、その人をおいてけぼりにしないで、みんなと一緒にお話しできるように、いろんな方法を使って関わってほしい」と話されました。このお話を真剣に聞いていた子どもたちは、この後、なかよし班で「これからろうあ者の方に出あったとき、自分たちができそうなこと」を話し合いました。そして、全体の場で次のようなことをしたいと発言しました。「出会ったら手話であいさつをしたい。」、「手話などいろいろな方法でお話をしたり、かかわりたい。」「手話ができなくても、行動や身ぶりで伝えていきたい。」「伝言ゲームなど、一緒に楽しめることをしたい」「手話等でかかわって、たくさんの人を笑顔にしたい。」、「耳が聞こえない人がその場におられたら、気づいて、周りの人にも教えて一緒にできるようにしたい。」子どもたちの発言からは、何かしてあげるのではなく、相手の立場を理解しながら、一緒に歩みたい、一緒に楽しみたいと考えていることがよく分かりました。子どもたちの発言を聞いた竹下さんは、「みんながいろんな人がいることを考えて暮らそうとしていることや、いろんな人がいることを理解して、一緒にできることを考えてくれていて、とても安心しました。」と、笑顔で話してくださいました。今日学んだ、「よりよいくらしをしようとする気持ちや努力することの大切さ」や「様々な立場の人を理解して、一緒に歩むことの大切さ」を今後のくらしの中で大切にしてほしいです。

「らしさ」ってなんだろう 人権・同和教育に関する授業公開・研修会

2022-12-03 16:48:28
 本日は、午後から人権・同和教育に関する授業公開と研修会を実施しました。1年生は「すきないろはなあに」、2年生は「たん生日って なあに」、3年生は「『らしさ』について考えよう」、4年生は「いろいろな性」、5・6年生は「ちがいのちがい」という題材での活動を行いました。本校をはじめ同じ大東町内の小学校は、「性の多様性」に関する学習を行っています。担任は、本日の授業に向けて現在の子どもの実態をふまえ、子どもたちが自分のこととして考えるにはどうすればよいのかを検討してきました。「みんなちがってみんないい」というフレーズが表面的な理解にならないようにするにはどうすればよいのかを検討していくにつれ、各学年ごとに自分の生活を振り返り、気づき、新しい目標を設定して実現するという、本校の求める「学び」を何度も繰り返すことが重要だということに尽きると思います。
 自分らしさについて理解することと、他者の良さを認めることは相互に密接にかかわってくることだと思います。本日の授業をみても、子どもたちが友だちの意見をじっくり聞いたり、自分の意見を臆せず言ったりする姿がたくさん見られました。一方で、友達がみている「自分」と自分が思っている「自分」は異なります。その異なりが、恥ずかしかったり嫌われるのが怖かったりすることが原因だと、「自分」が嫌いになってしまうと思います。そんなことにならないように、「ありのままの自分」を受け止めてもらえる「心の基地」をもった保護者、教職員、友達が必要だと思います。
 阿用地区振興協議会、本校PTAとの共催で雲南市教育委員会の佐藤指導主事に講演をしていただきました。佐藤先生が子どもから学ばれた「性的マイノリティ」を視点にした誰もが幸せを追究する社会の実現のために何をすべきかを考える機会をいただきました。10人に1人は、性的マイノリティであるという統計を考えると、誰もが「らしさ」をうまく言えるような「心の基地」を周りの大人が持っている必要があると改めて感じました。