式辞

土手の桜のつぼみもだんだんふくらみ始め、春の気配が感じられる頃となりました。本日巣立ちの日を迎えた２９名の皆さん、卒業おめでとうございます。

本日の式に際しましては、たくさんのご来賓の皆様にご来校頂きました。誠にありがとうございます。

私は、みなさんとは、最後の一年間だけ一緒に過ごしましたが、みなさんのこの一年の木次小学校でのリーダーぶりは本当に素晴らしかったです。

委員会活動や登校班、そうじ、あきば班でも下級生のお世話役がよくできる６年生でした。やさしく、たよりになる６年生は、全校のよい手本となり、よい木次小学校の伝統をつくってくれました。
明るく素直で、あいさつやそうじを頑張る木次小学校のよい伝統を引継ぎ、更にみんなで仲良く一致団結するチームワークの大切さを六年生のみなさんは、教えてくれました。木次小の歌「手をつないで」もみなさんの力で出来上がりました。
今の木次小学校の楽しい学校の雰囲気はみなさんがつくってくれたのだと私は思っています。立派に学校のリーダー役を立派に果たしてくれたみなさんにお礼を言いたいです。どうもありがとう。

さて、小学校最後の話は桜の話です。
卒業生の歌としてみなさんが歌う歌も桜ですね。
桜の染め物は、桜の花びらを集めて染め出すのかと思いますが、実は違います。実は桜の幹の皮から染め出すのです。桜は、春になると、外からは見えませんが、ピンクの幹の皮、ピンクの樹液になるのです。つまり、体全身でピンク色に染まり、外に見えるのはそのほんの一部の花びらだけなのです。
春になり一斉にピンクの花が咲き誇っていても、その花を支えるのは、目には見えない部分です。枝や幹、地面の下の根もピンクに染まるからからこそ花びらがきれいに見えるのです。

六年生のみなさんが下級生にかけてくれた優しい言葉や上級生らしい態度というピンクの花びらには、下級生を思いやる気持ちや上級生としてがんばろうという気持ちである幹や根があるからできたのだと思います。

運動会の応援合戦や「We will rock you」のパフォーマンス、学習発表会での太鼓の演奏などの見事な発表という目に見える結果には、それまでの練習の積み重ねや成功させたいと強く願う気持ちなどの目には見えない努力があったからです。

人が成長していくには、目に見える部分だけでなく、目には見えないその人の内面の本気さや日ごろの努力が大切なのです。
中学校に入ると体もぐっと大きくなることでしょう。外に見える体を鍛えるだけでなく、目に見えない内面、強い心や意志をもてるようにがんばってください。

今日、三月十八日には、先日震災について考える学習で校長先生のお話を聞いた石巻市立渡波小学校でも卒業式が行われています。五年前の地震・津波からの復興途中の六年生さんたちが卒業して行く渡波中学校はまだ仮説校舎のままです。しかし、津波に襲われても成長している黒松やハマナスのように「負けない心」をもち、渡波の子どもたちはがんばっています。

私たちは幸いにも大きな被害に遭うこともなく、こうして卒業式を迎えています。そのことに感謝しましょう。そして、困難なことに出会っても、負けないで、前向きに生きる人たちが世の中にはたくさんいる。そんな人達のことを思い出し、強い心を育てていってほしいと思います。

卒業生のみなさん、これからも、桜の木のように自分自身の幹や根に「負けない心」や強い意志をもち続けてください。

最後になりますが、保護者の皆様、お子様の小学校ご卒業おめでとうございます。心からお祝いの言葉を申し上げます。

お子様は立派に成長されました。きっと、立派に中学校生活に入られることと思います。今後のますますのご成長をお祈り申し上げております。
これまでいただきましたご厚情に深く感謝いたしますと共に、今後ともよろしくお願い申し上げます。

さあ、卒業生の皆さん。羽ばたきの時です。伝統あるたくましい木次小学校の卒業生としての誇りを持ち、胸を張って、木次中学校での生活に羽ばたいてください。

以上で、式辞を終わります。

平成28年3月18日
        雲南市立木次小学校 校長  若 槻  徹